いいぞ、もっとやれ。作者の質の低さを読者に見せ付けてやれや。
双葉社の青年マンガ雑誌「コミックハイ!」に連載中の漫画家・結城焔さんがツイッターで、「コミックハイ!」を置く書店が少ないのは「あざといエロ作品」の連載をしている漫画家がいるからで、この一人のせいで他の作家がとばっちりを受けている、などと呟いた。
すると同じく同誌に連載中の私屋カヲルさんが「ツィートは私のことでしょうか?」とリツィートしたため、ツイッター上で2人の激しいバトルが展開されることになった。
■「自分が売れりゃあいいんだろうなぁ」
「事件」が起こったのは2012年2月15日。「コミックハイ!」で、日本神話の世界からロリっ子が現代に降りてくるラブコメ「幸魂~さくや伝~」を連載中の結城さんが、「コミックハイ!」は読者が少ないから心が折れそうになるなどとツイッターで呟いた。置く書店が少ないのは、あざといエロで読者を集める作品のせいだとの内情を知ってしまったとし、
「一人だけ悪目立ちして自作品売れるかもしれないけど、他の作家が軒並みとばっちり受けるから本当あんまよくないと思う。ひとりのために台無しになる」
「自分が売れりゃあいいんだろうなぁ」
となど批判した。
その約9時間後に「コミックハイ!」で人気マンガ「こどものじかん」を連載中の私屋さんが、
「コミックハイ!についてのツィートは私のことでしょうか?」
とリツィートし、激しいバトルに突入した。
「こじか」は2005年に連載がスタートし07年にはテレビアニメ化もされ、続編もOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)で発売されている。元気な小学生の美少女「九重りん」が主人公で、小学生の日常と、担任の男性教諭に果敢にアタックする姿が描かれている。性を連想させる際どいシーンも多い。
■「同じ雑誌に載っている作家さんに作風を指示されても困る」
結城さんは私屋さんに対し、「コミックハイ!」はエロいから置かない方針だと書店関係者から聞いた、と書いた。さらに、私屋さんの作風にも触れ、売るためならばやり過ぎと思われるエロ表現も上等と考えているのでは、とし
「注意深くラインを守ってるって事は常にグレーゾーン渡り歩く作戦なさってるってことですか!? 安全地帯行こうとかの発想はないのですかね?」
と質問した。
私屋さんは、自分の作品は出版社の担当者と打ち合わせの上で描いているものであり、東京都が10年に改正した青少年保護育成条例にも抵触してはいないと反論、
「同じ雑誌に載っている作家さんに作風を指示されても困る」
などと返した。
■東京都の青少年保護条例改正が根底にある
この論争は7時間以上続いたが、やり取りを読んだ人から結城さんに対し、「売れない漫画家が嫉妬しているようで見苦しい」などといった意見が寄せられ、終結した。でも結城さんは、
「真面目に少年まんが描いてるのに、エロい作品があるから雑誌読んでもらえないのは残念って言う感情がそんなに非常識ですかね?」
と考えを曲げなかった。
私屋さんは16日の昼に「ツイッター」で前日の論争に関し、結城さんが問題にした漫画家は自分のことではないと明言したためバトルは終了した、とした。そして、都の条例改正で、描く内容が制限されてしまった漫画家がたくさん出てしまった、と現状を憂いた。最後に、
「規制されない範囲でできるだけ良いものを描こうとしています。 私も結城先生も同じです」
と報告した。
「コミックハイ!」編集部に話を聞いてみたところ、「ツイッター」上で結城さんと私屋さんの論争があったことは知っていて、
「コミックハイ!を置くかどうかは書店各店のお考えですが、他のメジャーな青年マンガ雑誌と比較しても、マンガの表現はやり過ぎということはなく、同程度だと見ています。特に都条例の改正以降は抵触しないように気を付けていますので、是非楽しんでいただきたいと思っています」
と話している。
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