今、130万部売れるって凄いです。読んだことはないですが・・・
全国の書店員が「一番売りたい本」を選ぶ11年の「本屋大賞」に選ばれた東川篤哉さんの小説「謎解きはディナーのあとで」(小学館)の売れ行きが絶好調だ。10年9月に発売され、現在130万部を超えるベストセラーになった。ゲームや携帯電話、インターネットなど時間を消費する娯楽が多く、ライバルに押されて「本が売れない」といわれる時代のヒット。その軌跡を追った。(毎日新聞デジタル)
「謎解きはディナーのあとで」は、企業グループの令嬢で新米刑事の宝生麗子が扱う事件を、麗子の有能だが毒舌な執事・影山があっさり解決してしまうという推理小説だ。 作者の東川さんは68年広島県出身。岡山大学法学部卒。02年、架空の地方都市・烏賊川市を舞台にしたミステリー「密室の鍵貸します」で光文社の新人賞「KAPPA-ONE登龍門」を受賞しデビュー。同作を含む烏賊川市シリーズ、架空の高校の探偵部を中心とした鯉ヶ窪学園探偵部シリーズなどがある。
表紙イラストは、ロックバンド「ASIAN KUNG-FU GENERATION」のジャケットイラストで注目を集め、文化庁メディア芸術祭大賞を受賞したアニメ「四畳半神話大系」のキャラクター原案を担当した中村佑介さんが手がけた。緑を基調とした背景にお嬢様と執事らの横顔をあしらった上品なイラストが売り場でも目立っている。
初版は7000部と他の単行本と変わらない部数だった。だが発売の3日後に増刷がかかり、半月に1回のペースで増刷を重ねた。表紙が売り場で存在感を放ったのもさることながら、「失礼ながら、お嬢様の目は節穴でございますか」「この程度の真相がお分かりでならないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか」などと、執事がお嬢様に暴言を浴びせる予想外のせりふが本の帯や広告に踊り、話題となった。また、ここのところ本格ミステリーのヒット作はあったが、ユーモアミステリーというジャンルの目新しさも幸いした。
その売れ行きが加速し始めたのは昨年末で、テレビアニメ「名探偵コナン」内でCMが放送されたころだ。発行元の小学館によるとテレビアニメでは、普通は小説のCMを打たないが、同じ探偵ものでイラストが目を引くことから流してみたところ、その時点で10万部だった部数が、年明けには37万部に急増した。そして今年2月にTBSの情報バラエティー番組「王様のブランチ」の本コーナーで同書の特集が組まれると、部数は倍近くの65万部に達した
テレビの力が追い風になり加速した部数は、「本屋大賞」でさらに増加。3月上旬のノミネート時には「さほど動きがなかった」(同社関係者)というが、82万部に達しており、4月に大賞を受賞すると、「週間の売り上げが倍どころが3倍になった」(同)というほどで、現在では18刷130万部のベストセラーになった。
同書はインターネットを使った販促にも力を入れており、人気声優の櫻井孝宏さんと竹達彩菜さんを起用した朗読予告動画、試し読みページを設けている。また月刊少女マンガ誌「プチコミック」でマンガ化されている。著者の東川さんは、年末にシリーズ2作目を発売する予定だといい、第1作同様にヒットとなるか注目される。
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