無理せず、しっかりと治して戻ってきてください!
日本ハムの斎藤佑樹が左わき腹の肉離れで戦列を離れた。2011年5月8日のソフトバンク戦で先発したのだが、1回を投げ終えたところで痛みを訴え降板。「全治2~3週間」と診断され、5月いっぱいの日曜日限定登板は難しい状況だ。
■わき腹は鍛えるのが難しい場所
投手は先発のマウンドに登る前までブルペンで調整の投球練習を行う。斎藤はそのときに違和感を持ったという。
「最後の1球のときですね、おかしいと感じたのは…」
斎藤はそう振り返っている。右投手にとって左わき腹の筋肉は引っ張る役目を果たす大事なところである。この部分の故障は投手がもっとも恐れることのひとつ。だから入念なストレッチをして支障をなくし、それからボールを握る。
「わき腹は鍛えるのが難しい場所で、一度おかしくするとクセになる。股関節とともにじつにやっかいなところだ」
投手たちはそう口をそろえる。打者もバットを振るときにねじるところ。その他の競技もねじる力を使うからほんとうに重要なところなのだ。
■故障の少ない斎藤も「ストレス」に苦しめられた?
斎藤は故障の少ない投手である。高校時代、大学時代に登板を回避するような故障をしたという話は聞かない。大きな故障がない、というエースの絶対条件を兼ね備えていた投手だった。原因は何か。
「筋肉というのは肉体的な疲労はもちろんだが、精神的な疲労も微妙に影響する」
あるベテラントレーナーはそう語る。ストレスが溜まると、筋肉に余裕がなくなるというのだ。
この話は注目していい。斎藤はプロ入り以来、注目されている。マウンドに立てば、好投しなければならない、勝たなくてはならない、などの気負いもあったはずだ。それが心身の疲労となって鍛えられない弱い筋肉に波及したことは考えられる。おそらく筋肉がパンパンに張っていたのかもしれない。
■「全治」と「完治」はスポーツ選手にとって大きな違い
「登板は1回飛ばすことになる」
梨田監督は斎藤の次回先発をそう表現した。斎藤は日曜日ごとに投げ、多くのファンを球場に集めている。
「チームに迷惑をかけることになり申し訳ない」
ローテーション投手としての自覚からなのだろう、斎藤は1軍登録を抹消されると、そう言って表情を曇らせた。しかし、ここは自分の先行きを考えるところで、申し訳ないという気持ちが焦りを生み、中途半端な状態で復帰すると、それこそ再発のリスクがある。
斎藤は全治ではなく完治となってから復帰したらいい。全治は普通に動ける状態になることをいい、完治は完全に治ることをいう。全治と完治の違いはスポーツ選手にとっては大きい。患部がわき腹であることを考えると、戦列復帰は完治を条件にした方が今後にプラスとなるだろう。
状態が思わしくなければ、極端に言ってオールスター戦まで調整してもおかしくない。初めての試練にどう対処するか。完全な姿で「サンデー佑樹」に戻ればよい。
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