これを観て、少しでも脱原発に向かってくれればいいですね。
原発から発生する放射性廃棄物の埋蔵と、未来におけるその安全性を問い掛けるドキュメンタリー映画『100,000年後の安全』が新党日本代表で衆議院議員の田中康夫氏らの呼び掛けによって、7月26日に国会で上映されることが決定した。
本作は、フィンランドが建設を承認した、世界で初となる高レベル放射性廃棄物の永久地層処分場「オンカロ」にカメラが初潜入したドキュメンタリー作品。地下都市のようなその巨大システムは、放射性廃棄物が一定に達すると封鎖され、決して開かれることはないという。その耐用年数は、放射性廃棄物の放射能レベルが、生物にとって無害になるまでにかかる最低年数という10万年。しかし、10万年後に生きる人類は、封印の意味を理解できるのか? もしかしたら、古代の貴重な遺跡や施設として、封鎖がとかれてしまうかもしれない。そして、そこに待つのは、透明で、においもないが、確実に人体をむしばむ放射能の恐怖だ。
そんな、原発によって例外なく発生する放射性廃棄物の処理問題と、それがもたらす未来への影響を鋭く突く本作は、4月2日から、東京・渋谷のアップリンクで緊急公開。福島第一原発の事故によって、原発への考えが大きく変わった日本でも話題を呼び連日満席になるほど観客が訪れ、1館のみだった上映館数は、6月14日の時点で全国70館以上に拡大。何故こんなにも処理に手間取る原発を稼動させたのか? という政治への怒りや、これからいかに原発と向き合うべきかなど、鑑賞した人々に多くの思いを生んだ。
そしてこの度、田中氏と河野太郎氏(自由民主党)、柿沢未途氏(みんなの党)が呼び掛け人となって、国会での上映が実現。衆議院第一議員会館において、国会議員やスタッフ、そして「政治」にかかわる表現者を対象に、無料上映会を開催する。本会議の開催を想定し、11:15からの上映にするなど、多く関係者が鑑賞できるよう配慮した。田中氏は「今この瞬間も排出・蓄積される放射性廃棄物を如何に処理するのか。更には不毛な二項対立を超えた原子力との向き合い方はどうあるべきか。洞察力と構築力に富んだ「決断」が日本の政治に求められています」と政治の役割に言及しながら、上映企画の意図を説明。作品についても「故スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』を想起させる映像美です」と称賛のコメントを寄せている。
現在も原発事故の影響にゆれる日本に、原子力発電の現実を突きつける本作。どれほどの政治関係者が鑑賞するのかは不明だが、原発問題に危機感を持ち、多くの国民が劇場に足を運んだ作品が、国会議員ら政府関係者に向けて上映される意義は大きいはず。福島第一原発の事故から4か月以上がたった今も、後手に回っている印象の強い政府の対応や、原発の存在自体が見直されるきっかけとなることを願いたい。
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